2023年7月30日 5時00分

最低賃金が上がっても

 ちょうど10年前、オーストラリアで取材拠点を開設する任務を担った(になった)。地元の弁護士に相談しながら法人登録し、物件(ぶっけん)探しで不動産屋を回った。現地スタッフの募集(ぼしゅう)を始める際、最低賃金が時給1500円を超えると知って目をむいた。当時の日本は700円台だった▼その豪州(ごうしゅう)は今月1日から、最低賃金を約2200円(488.33 台湾ドル、 15.59 US$)に改定した。物価高(ぶっかだか)を背景に前年比(ぜんねんひ)8・6%、約170円のアップである。財界からの反対を押し切り、過去最大級の引き上げ幅だという。労働組合(ろうどうくみあい)は「低賃金労働者の勝利だ」と歓迎(かんげい)した▼日本でも一昨日、厚生労働省の審議会が最低賃金の目安をまとめた。全国平均で初めて千円を超えたと聞いても、驚きはない。この物価高で41円増えたくらいでは、追いつかないだろう▼豪州に限らず、他の先進国と比べても日本の最低賃金は低い。英独仏(えいどくふつ)などはロシアによるウクライナ侵攻後、インフレ対応として急いで引き上げた。今回の目安通り(めやすどおり)に上がっても、日本はこれらの国の6割程度にとどまる▼1990年代末から駐在したフィリピンでは、出稼ぎ労働者の間で日本の人気は高かった。経済を支える主要な送金元(そうきんもと)のひとつが日本だった。だが、「失われた30年」で賃金は伸びず、円安でさらに魅力は色あせた▼先進国には水をあけられ、新興国との差も縮まった。日本国内では人手不足(ひとでぶそく)が進むなか、近年は豪州などへ働きに行く若者らも目立つ(めだつ)。そんな状況での「千円超え」は、やはり遅すぎたと言うしかない。


2022年09月02日

台湾の労働部は9月1日に基本工資審議委員会(最低賃金審議委員会)を開催し、2023年1月1日以降の最低賃金を、月給ベースで2万6,400台湾元(約12万1,440円、1台湾元=約4.6円)と、現行の2万5,250台湾元から4.56%引き上げる結論に至ったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。時給ベースでは、現行の168台湾元から8台湾元増加の、176元となる。今回の引き上げは、消費者物価指数の上昇率や経済成長率(2022年8月25日記事参照)、社会全体の経済情勢などを踏まえたもの。最低賃金は今後、行政院で決定する見通しで、確定後は月給ベースでは約175万2,100人、時給ベースでは約57万4,600人の労働者が恩恵を受けるという。

2016年5月の蔡英文政権発足後、最低賃金の引き上げは、今回も含め月給ベースで7回、時給ベースで8回実施されている。政権発足前と比較すると、月給は2万8元から31.9%増加、時給は120元から46.7%増加した。

2020年最低賃金-OEDC.png

経済協力開発機構(けいざいきょうりょくかいはつきこう)は、国際経済全般について協議することを目的とした国際機関。公用語の正式名称は、英語では"Organisation for Economic Co-operation and Development"、フランス語では"Organisation de Coopération et de Développement Economiques"。略称は英語ではOECD、フランス語ではOCDE。

本部事務局はパリ16区の旧ラ・ミュエット宮殿(フランス語版)に置かれている。事務総長はマティアス・コールマン(英語版)。