2023年9月9日 5時00分
秋本真利((あきもと まさとし)議員の逮捕
競走馬(きょうそうば)の名付け方には、いくつかルールがあるそうだ。まずカタカナで2~9文字であること。過去のG1レースで優勝した馬と同じ名も認められない。逆に言えば、それらを満たせばわりと自由に付けられるらしい▼2006年のG1高松宮記念(たかまつのみや)を制したのは6歳の牡馬(ぼば)、オレハマッテルゼだった。待ってるぜ。歓声に応えて疾駆(しっく)する姿が見えそうな名前だ。カネタマル、オレノチカラ、イカガナモノカ。記録をめくると、そんな名前も見えて、にやりとさせられる▼東京地検特捜部に逮捕された秋本真利衆院議員らが設立(せつりつ)した馬主組合(ばしゅくみあい)「パープルパッチレーシング」は、パープルブロッサム、パープルビューティなど20頭あまりを擁する。紫のつぎあてという直訳になるパープルパッチには、栄華(えいが)という意味もあるそうだ▼ただ、栄華どころか馬の購入や交配、えさの管理、出走調整(出走ちょうせい)まで秋本議員が1人でやっていたというから驚く。国会議員がどんな趣味を楽しもうと構わぬが、職責を果たしながらそんな時間があるものなのか。どちらが本業のつもりだったのか▼馬仲間である風力発電業者に有利な国会質問をした見返りに、馬の購入費などを業者から出してもらったというのが検察の見立て(みたて)だ。議員はそうした事実はないと否定している▼そういえば組合にはファルークという名の馬もかつていた。アラビア語では「真実と虚偽を区別する者」という意味もあるという。真実はどちらにあるのか。再エネ利権の解明が待たれる。