2023年5月31日 5時00分

人気者のウラの顔

 ケンくんは人気者だ。くりっとした目が可愛らしいし、華麗なフォームで泳ぐ姿は見ていて誰もが惚れ惚れ(ほれぼれ)するほど。彼に会うために、上野動物園にやってくるファンがいる。ケンくんはカワウソの一種、コツメカワウソの雄である▼犬やネコのように、ケンくんの仲間を自宅で飼いたい。そう思ってペットショップで購入する人さえ、いるらしい。でも、ちょっと待ってほしい。「個人で飼うのはお勧めできませんね」と話すのは、同園の教育普及課長、大橋直哉さん(おおはし なおや さん49)▼何しろ、あくまで野生動物である。人にはなつきにくい。飼うには泳ぎ回れるプールが要るし、糞(ふん)の臭いはかなりきついそうだ。病気になっても、カワウソを診てくれる獣医師さんは少ない▼大橋さんも昔、カワウソの愛くるしさにひかれ、希望して飼育の担当になったことがある。飼いたいとの気持ちはよく分かるだけに、「かわいいのその先も、伝えていかなければ」▼きょうは「世界カワウソの日」だという。野生の動物をペットにするのは、種を絶滅に追い込んだり、密猟や密輸につながったりする危険がある、と保護団体は訴えている。かつてのアライグマのブームのように、捨てられた外来種が生態系を壊す懸念もある▼ケンくんの食事を見せてもらって、びっくりした。ニワトリの頭を強力なあごで、ガツガツガツ。食べ終わると、ニカッと歯を見せ、笑った(ように見えた)。うーん、確かに。かわいいけれど、私にも無理かな。彼との同居は。

カワウソのケン君.png カワウソのケン君-01.png カワウソのケン君-02.png

5月最終水曜日は『世界カワウソの日』!

コツメカワウソは、乱獲や環境破壊により、過去30年の間におよそ30%が減少したと推定されています。IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは「危急種(VU)」に指定されており、2019年にはワシントン条約の「附属書Ⅰ」に引き上げられ、国際取引が原則禁止となりました。 皆さまにカワウソの「かわいい!」だけではない現状をこの機会にぜひ知っていただきたいです。

アライグマ.png

アライグマ (洗熊、浣熊、Procyon lotor) は、哺乳綱食肉目アライグマ科アライグマ属に分類される哺乳類。アライグマ属に属する動物のうち最も広く分布している種である。

原産地はメキシコ、アメリカ合衆国、カナダ。これらの原産地では重要な狩猟獣となっている