2023年6月27日 5時00分
オオタカの巣立ち
バードウォッチング(bird watching)で人気者のオオタカ(大鷹)は、翼を広げて飛んでも木にとまっていても格好が良い。開発や乱獲(らんかく)で一時は絶滅(ぜつめつ)の危機にあったが、生息数が回復して近年は都市部でも見かける。東京都心では、いまが巣立ち(すだち)の真っ最中(まっさいなか)だ▼多くは保護のために繁殖地が公表されていないが、人が近づけないなどの理由で公開する例も。国立科学博物館附属(ふぞく)自然教育園はそのひとつで、6年前に繁殖が確認されてから観察を続けている。今年は初めて、産卵したすべての4羽が巣立った▼同園の遠藤拓洋(えんどう たくみ)さん(34)によると、最も気をもむのは巣づくりの時期だという。オオタカは続けて同じ巣を使う習性だが、カラスが壊すこともある。今年は、昨年の巣にハクビシン((白鼻芯:Paguma larvata)が大量のフンをしていた。それでもつがいが来て枝や葉でフンを覆い(おおい)、3月末から卵を産んだ▼産卵後も、気が抜けない。アオダイショウやハクビシンが襲った(おそった)年もあった。最近の新たな「敵」は、ゲリラ豪雨だ。昨年は孵化(ふか)した直後に大雨が降り、1羽が死んでしまった▼鳥類学(とりるいがく)の樋口広芳(ひぐち ひろよし)・東大名誉教授は「羽が生える前に大雨があると、親鳥(おやどり)がかぶさっても守り切れない。人間が絡む(からむ)無謀な(むぼうな)撮影や伐採(ばっさい)、密猟(みつりょう)と違って防ぎようがない」と話す。孵化するのは梅雨入り前だが、大雨が増えているのだろうか▼都心でオオタカが見られるのはカラスが減り、獲物のドバトやムクドリが増えたのが大きいという。巣立ち後も1カ月ほど園内にいると聞き、しばし耳を澄ませた。
- 大鷹
- ハクビシン(白鼻芯:Paguma larvata)
- アオダイショウ(青大将、黄頷蛇, あおだいしょう)
- 土鳩
- 椋鳥、むくどり