2023年12月20日 5時00分
2023年創作(そうさく)四字熟語(よじじゅくご)
ウクライナでの争いがやまぬうちに、ガザの街ががれきと化す(かす)。〈戦酷胸痛(せんこくきょうつう)〉のやりきれなさ、万国共通の平和への願い。あっという間に1年がたち、恒例の創作四字熟語の時節になった。住友生命(すみもとせいめい)が発表した入選作で、今年をふり返る▼きのうは各地で厳しい寒さとなったが、少し前まで「きょうも暑いね」と言い交わしていた。冷房(れいぼ)を使いましょうという呼びかけと、高い電気代ゆえの節電の間で悩む日々は〈電高節夏(でんこうせっか)〉どころか長く続いた。春も秋も駆け足で過ぎる〈瞬夏瞬冬(しゅんかしゅんとう)〉の四季(しき)だった▼若者たちの活躍はひときわ輝いた。13歳で史上最年少タイトルホルダーになった囲碁の仲邑菫(なかむらすみれ)さんは来春、韓国へ。将棋(しょうぎ)の藤井聡太(ふじい そうた )さんは八つのタイトルを独り占めして〈冠占聡覇(かんせんそうは)〉ならぬ完全制覇をなし遂げた(とげた)▼38年ぶりの阪神日本一を忘れるわけにはいくまい。岡田彰布(おかだ あきのぶ)監督が率いたチームの勢いは〈猛虎祝来(もうこしゅうらい)〉さながらだった。大リーグでは大谷翔平選手が本塁打王(ほんるいだおう)となった▼ネット世界の栄枯盛衰(えいこせいすい)はいつものことだが、ChatGPTなど生成AIの急な(きゅうな)発達(はったつ)には驚いた。ツイッターはロゴマークから青い鳥が消え、名前も「X」に。あの起業家の〈鳥了X来(ちょうりょうばっこ)〉で、利用者は置いてけぼりだ▼ジャニーズ事務所の解体など、入選作に見当たらない(みあたらない)ニュースは数々あるが、最後はわが愚作(ぐさく)で。きのう東京地検(ちけん)は自民党の派閥事務所を家宅捜索(そうさく)した。パーティー券をめぐるからくり(【仕掛け】a device ; 【計略】a trick)で裏金(うらきん)を生み出してきた〈自策自宴(じさくじえん)〉の手法(しゅほう)にメス。
- おいてけ‐ぼり【置いてけぼり】 の解説
- (置いてけ堀)江戸本所の堀の名。本所七不思議の一。釣りをして帰ろうとすると、水中から「置いてけ、置いてけ」と呼ぶ声がして、魚を返すまで言いつづけたという。
- 他の者を残したまま、その場を去ってしまうこと。置き去りにすること。おいてきぼり。「—を食う」「出世仲間に—にされる」