2023-10-14, BBC
イスラエル軍、ガザ住民に2つの避難経路示す ガザの死傷者1万人超える
- イスラエル軍の通告を受け、避難の準備をするガザ市民(14日、ガザ市)
イスラエル国防軍(こくぼうぐん)は14日、パレスチナ自治区ガザ地区の北部に住む約110万人に対して、住民が通るべきという2つの避難経路を示した。イスラエル空軍(くうぐん)は同日、7日のイスラエル侵入作戦を指揮したイスラム組織ハマスの司令官をドローン攻撃で殺害したと明らかにした。他方、ガザ当局によると、イスラエルの空爆によるガザの死傷者は1万人を超えた。
イスラエル軍のアヴィチャイ・アドラエ報道官はソーシャルメディアで、ガザ北部から南部へ移動する経路を2つ示し、現地時間の午前10時~午後4時(日本時間の午後4時~午後10時)の間は、「危害を受けることなく」ここを通行できると、ソーシャルメディア「X(旧ツイッター)」でアラビア語で発表した。
報道官は、ガザ市の住民はハンユニスまで南へ移動するよう指示。沿岸部やザイトゥン地区西の住民にも、特定の道路を使った南への移動が認められるとした。
イスラエル軍の地上部隊(地上ぶたい)によるガザ侵攻が近いとされている。イスラエルは地上攻撃の準備を進めており、ガザ地区との境界付近に兵士や重砲(じゅうほう)、戦車を集めている。
ガザ市と2つの難民キャンプが位置するガザ北部は、人口密集度(みっしゅうど)の高いガザ地区でも特に人口の多い地域。南へ移動するための幹線道路は1本しかなく、自動車用の燃料はなくなりつつある。
こうした中、米国務省関係者は14日、ガザ地区にいるアメリカ国民は、エジプトへ至るラファ検問所からガザを出られることになったと明らかにした。イスラエルとエジプト両政府の合意を受け、現地時間正午から午後5時(日本時間午後6時~同11時)の間、ラファ経由の退避が認められるという。ただし、ハマスがこれを認めるかは不透明な情勢。
イスラエルとガザの間の通過地点は7日以降、すべて封鎖されてきた。ガザとエジプトを結ぶラファ検問所は、エジプトの管理下にあるものの、イスラエルの空爆が続き、ほとんど閉鎖されているか、通行が厳しく制限されている。
■■■10月15日(日本時間)■■■ 05:30(ワシントン14日16:30) バイデン大統領がネタニヤフ首相、アッバス議長と電話
米ホワイトハウスは14日、バイデン大統領がイスラエルのネタニヤフ首相と同日午後に電話で協議し、改めてイスラエルへの揺るぎない支持を伝えたと発表した。7日にハマスがイスラエル攻撃を始めて以降(いこう)、5回目の電話協議となる。
発表によると、両首脳はガザの人々が水や食料、医療を確保できるよう、米国が国連やイスラエル、エジプト、ヨルダンなど地域の国々と調整していることについて協議した。バイデン氏は、民間人を保護するためのあらゆる努力を支持すると主張したという。
ホワイトハウスによると、バイデン氏はパレスチナ自治政府のアッバス議長とも同日午後に電話協議した。アッバス氏は、ガザなどでパレスチナ人に緊急の人道支援を届けるための自身の取り組みを説明し、バイデン氏は全面的な支援を申し出たという。
また、米国防総省もホワイトハウスとほぼ同時に、オースティン国防長官がイスラエルのガラント国防相(こくぼうしょう)と電話協議したことを発表した。両者は13日にイスラエルで会談したばかりだが、この日も人道危機への対処や、イスラエルへの防空能力や兵器の提供について話し合ったという。