2024年1月20日 5時00分

派閥は本当に無くなるか

 派閥(はばつ)は解消する。派閥事務所は本年末(ほんねんまつ)までに閉鎖する――。自民党はそう明確に宣言した。いまから30年前の1994年のことである。前年の野党転落を受け、人気回復を狙った(ねらった)窮余(きゅうよ)の策だった。さて、その言は守られたか。わざわざここに、記す(きす)までもないだろう(I don't need to go to the trouble of writing about it here.)▼きのう岸田首相らが、派閥の解散を明言した。歴史は繰り返されるのか。ちなみに、70年代の福田政権でも派閥は解散している。リクルート事件の際には派閥解消の「決意」が示された▼2度目は悲劇、3度目は喜劇と言われるが、4度、5度となると何だろう。過去の本紙を見ると、永田町(ながたまち)には「派閥解消と禁煙くらい、たやすく実行できるものはない」との言葉があったそうだ。「どちらも何度でもできる」という笑い話(わらいばなし)である▼そもそも派閥は金集め(かねあつめ)の術(すべ)に使われたに過ぎない。悪いのは、堂々と人様に言えないお金をもらい、コソコソと使っていた自民党の議員たちだ。まるで目眩し(めくらまし)のように派閥解散を打ち上げ、問題の本質をずらそうとしていないか▼安倍派の幹部7人の立件はないというが、それでホッとしてもらっては困る。いま首相ら党幹部たちが果たすべき責務は、裏金の全容を自ら明らかにすること、さらには、抜け穴だらけの法律を抜本的(ばっぽんてき)に改めることである▼古人(こじん、いにしえびと)いわく、君子は諸(これ)を己(おのれ)に求め、小人(こびと、しょうじん)は諸を人に求む。会計責任者だけに咎(とが)を背負わせ、自己の責任に頬かむりをするような輩には、政治家の看板を早々に下ろしていただきたい。

きゅうよ 【窮余】窮余の一策 a last-ditch measure. りっけん 【立件】▸ 過失傷害で立件される be prosecuted for accidental infliction of injury. 君子は諸を己に求め、小人は諸を人に求む。【読み方】くんしはこれをおのれにもとめ、しょうじんはこれをひとにもとむ。【意味】君子は自分の身に起きた全ての出来事に対して謙虚に受け止め自分自身に責任を求め反省をする。しかし、小人は他人の命によって行動し、失敗すれば他人のせいにして反省をしない。 頬被・頬冠(読み)ほおかぶり〘名〙① 頭から頬・あごへかけて衣服や手拭(てぬぐい)などでおおい隠すこと。また、その人。ほおかむり。ほっかぶり。