2024年9月24日 5時00分
中道保守とは何か
「わかる」とは「分ける」ことだと言われる。あれこれと境界線を引いたり、基準を設けたりして、別々のものだと区別する。そうして「ああ、判(わか)った」とか「ふむふむ、解(わか)る」とか言って、何やらわかったような気になる。人間とは、そんな生き物らしい▼立憲民主党の新たな代表に、野田佳彦元首相が選ばれた。党内の支持を集めたキーワードの一つは「中道保守」へのシフトだったという。来たる総選挙をにらみ、「穏健な保守層まで手が届くようにする」のだとか▼野党の戦術論としては、十分に理解できる。幅広い野党との連携も視野に、支持層のウィングを広げる狙いなのだろう。ただ、そのぶん、与党との違いや対立軸が、ぼやけてしまったように思えるが、気のせいか▼そもそも「中道保守」とは何だろう。わかるようで、わからない。まさか、自民党政権とたいして変わるわけではないので、安心して投票してください、とのアピールではなかろうに▼何が右で、何が左なのかも不明瞭なのに、何が中道か。保守とは、何を守ろうとの立場を言うのか。区分しにくいものを、あたかも、きれいに分けたかのようにして、わかった気にさせる。そんな政治用語のあいまいさは、目の前にある問題の本質を見えにくくしていないか▼確かなのは、いまのこの国には、政権交代の選択肢が必要だということだ。野党としての背骨はいったいどこにあるのか。自民党とは何が違うのか。そこははっきり、明確に、お願いしたい。