2024年2月15日 5時00分

図書館いくつ分?

 仕事と趣味で毎日、本をたくさん読む。欲しい本をすべて買うことはできないし、収納場所もない。本当に手元に残したいものだけ買って、あとは図書館が頼みの綱(つな)だ。昨年に借りた本を数えたら、千冊を超えていた▼政治資金収支報告書の訂正で、二階俊博(にかい としひろ)氏の関連団体が支出に追加した「書籍代」には目を疑った。3年間で3472万円。自民党が党所属の国会議員らに実施したアンケートの結果よりも驚いた。こちらも不記載などの額で二階氏が最高だったが▼巨額を本に費やす二階氏は大変な読書家だ、と思った人はまずいないだろう。実際にきのう、領収書が公開されて内訳(うちわけ)がわかった。17種類で約2万8千冊。同じ本を数千冊単位で買っており、自身の足跡をたどった「二階本」も。配るために大量に購入された本だった▼これだけの金額を、もし図書館が使えたらと考える。日本図書館協会は昨年、関係大臣らに「住民が必要とする資料の確保ができない」と文書で訴えた。昨年度の購入予算は1館あたり840万円。23年間で500万円以上減った。あの書籍代は4館分に相当する▼学校図書館の現状も厳しい。調査によると、昨年度の1校あたりの平均購入額は小中高とも10年前と比べて減った。約47万円の小学校なら、例の書籍代で74校分の予算がまかなえる▼報告書の訂正では、額や支払先を「不明」とした議員らもいた。書名どころか、何をいくら使ったのかも、答えない。国民をなめたツケは必ず来るだろう。