2024年2月20日 5時00分

のび太の長所(ちょうしょ)

 『ドラえもん』ののび太は、何をやってもいいことがない。テストは0点だし、犬にかまれるし、買ったばかりの漫画をジャイアンに取り上げられる▼でもあんなに何度もつまずきながら、決して人生をあきらめないのが、のび太のいいところだ。年に数回は「今の自分より少しはましになりたい」と一念発起(いちねんほっき)し、宿題をやろうと机に向かってママを驚かす。考えてみれば、芯は強いのかもしれない▼作者の藤子・F・不二雄さんが雑誌で、くるくる回る床屋の看板を人に例えていた。上へ上へと夢を追いながら、じつは同じ場所にいる。「しまいには、その『上昇の夢』さえ忘れてしまう。そうじゃなくて、挫折(ざせつ)しても明るく夢を見続ける『自分を見捨てない人』に共感してほしい」。きっとのび太のことだろう▼卒業シーズンが近づく。多くの高校生は、3月上旬に別れの時を迎える。希望の道へ進む人、涙をのんだ人。さまざまだろう。この一歩で残りの人生も決まると、若いうちは思うかもしれない。でもそんなことはない。大事なのは「自分を見捨てない」ことだ▼ドラえもんから眼鏡型の道具「ファンタグラス」を借りたのび太は、童話さながらに、動植物と心を通わせられるようになる。大事に育てたタンポポから、綿毛(めんもう、わたげ)が最後にひとつ、春風(しゅんぷう)に吹かれて飛んでゆく▼どこへ行くつもり? のび太の問いに綿毛が答える。「わかんないけど…、だけどきっと、どこかできれいな花をさかせるよ」。旅立つ(たびたつ)若者たちに幸あれ(さちあれ)。


野比 のび太(のび のびた)は、藤子・F・不二雄(ふじこ・エフ・ふじお、1933年〈昭和8年〉12月1日 - 1996年〈平成8年〉9月23日))の漫画作品『ドラえもん』に登場する架空の人物で、同作品の副主人公。野比のび助と野比玉子の子。漫画では1962年(または1964年)8月7日生まれ

野比のび太.png

おっちょこちょい 5(名•形動) 落ち着きがなく,早とちりや軽率なことをすること。また,そのさまやその人。「ちょっと―なところがある」「あの―にも困ったものだ」