2024年5月7日 5時00分

心の健康のために

 日々の習慣を変えない。在宅勤務でもこれまで通りに起きて朝食をとり、身支度して仕事を始める。新型コロナに揺れた4年前の春、友人からこんな助言を受けた。感染爆発したイタリアで臨床心理士をする友人は、「心の健康をどう保つか」をメールなどで細かく説いてくれた▼いま振り返ると、未知のウイルスの出現(しゅつげん)で私もかなり動揺していた。距離の確保や臨時休校、緊急事態宣言など大きな変化があった。取材は電話やオンラインになり、戸惑いの連続だった▼環境の変化は体と心に不安やストレスをもたらす。大型連休が昨日で終わった。新しい学校や職場に戻ったが、切り替えがうまくいかないと感じる人もいるのではないか。コロナの収束と共に、五月病(ごがつびょう)が増加傾向にあるとも聞く▼五月病は、団塊世代が大学生になった1960年代末ごろ、受験戦争後の虚脱感から適応が困難になる現象として注目された。新入生の不調を指したが、新社会人なども含むようになった▼近年の論文を読むと、几帳面(きちょうめん)で生真面目な性格の人がかかりやすい傾向があるようだ。新しい学校や職場に適応しようと、頑張りすぎるのか。最近の民間調査では、新入社員に限らず50代にも多いとの結果も。心の不調は、だれにでも起きうる▼ダメージを抑えて乗り切るには、気持ちを吐き出すのがいい。家族や友人に話せなければ、専門家がいる。他人に頼りにくければAIの自動応答もある。声に出して自分に言い聞かせるだけでも効果がある。

2019年に発生した新型コロナウイルス感染症(しんがたコロナウイルスかんせんしょう)は、COVID-19(コヴィッドナインティーン)の正式名称で呼ばれ、SARSコロナウイルス2がヒトに感染することによって発症する気道感染症(ウイルス性の広義の感冒(かんぼう)の一種)である。2020年に入ってから世界中で感染が拡大し、2022年8月までに感染者数は累計6億人を超え、世界的流行(パンデミック)をもたらした。2023年5月5日、世界保健機関(WHO)は、ワクチン普及や治療法の確立によって新規感染者数や死者数が減少していることを踏まえ、2020年1月30日に宣言した「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を終了すると発表した。緊急事態宣言に法的強制力はないが、各国に対して防疫体制の強化などを勧告するものであり、緊急事態宣言が解除されたことで各国がウイルスへの警戒度を下げた上で対策を緩和することとなる。