2024年5月11日 5時00分

ハムレットとオセロ

　『ハムレット』と『オセロ』の主人公が入れ替わったら、どんな結末になるか。英国で学んだ大学時代、政治の試験でこんな問題が出た。想定外で一瞬、頭の中が真っ白になった。必死に考えて出した結論は「どちらも悲劇が避けられた」だった▼ハムレットは慎重（しんちょう）で賢い。「あなたの妻が浮気をしています」と言う部下にだまされず、妻も自分も死ぬことはなかっただろう。一方、オセロは直情型（ちょくじょうがた）で勇敢だ。「生きるべきか死ぬべきか」などと迷わず、さっさと叔父を始末して恋人と幸せになったはずだ▼組み合わせの違いで悲劇も大団円になり得ると気づかせたかったのか。だが試験を終え、同級生と回答を比べ合って驚いた。ハムレットが離婚したり、オセロが同性婚の合法化を訴えたりしている。想像力の欠如（けつじょ）を痛感した▼あれから３０年以上たち、英国を含む海外では同性婚の合法化が進んだ。後れを取る日本では、現行法は「異性間で同じ名字」の結婚の形しか認めていない。だが、家族の姿は多様化している。事実婚や、出生時の性別にとらわれない生き方も▼そうしたなか、同性パートナーと戸籍上同じ名字にすることを求めた審判で、名古屋家裁が変更を認めた。様々な支障に悩む２人が「社会観念上、夫婦と同様」と判断されたのは良かった。ただ、同性婚が認められたわけではない▼いま、あの試験を受けたら何と答えようか。悲劇ではなく自由で寛容な結末がいい。ハムレットたちにはどんな家族が似合うだろう。

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ウィリアム・シェイクスピアによって書かれた有名な戯曲です。物語の中心には、デンマークの王子ハムレットがあります。物語の展開の一つに、ある部下がハムレットに対して、彼の父親である王が暗殺され、その後王の遺産を相続した後、母親であるゲルトルードが叔父のクローディアスと浮気関係にあると告げるというシーンがあります。

この部下は、ハムレットに対して疑念や疑惑を植え付けることで、彼を行動に駆り立てようとしています。この情報によって、ハムレットは悩み、深い憤りと苦悩にさいなまれます。しかし、物語が進むにつれて、真実が明らかになります。実際には、部下が言う通り、ゲルトルードがクローディアスと不義を働いていたわけではありませんでした。ハムレットは、部下の策略に騙され、感情的に動かされてしまったことに後悔し、結果として多くの悲劇を引き起こすことになります。

このシーンは、誤解や悲劇がどのようにして誤った情報や誤解から生じるかを示すシェイクスピアの巧妙な手法を示しています。ハムレットの物語は、人間の心理や情報の受け取り方、そして真実と虚偽の間の微妙な狭間（はざま）を探求するものとして、今日でも多くの人々に影響を与えています。

シェイクスピアの有名な戯曲の一つです。物語の中心には、ヴェネツィア共和国の将軍であるオセロと、彼の妻デズデモーナとの関係があります。物語の展開の中で、オセロの副官であるイアーゴーがオセロに対して、デズデモーナが彼を裏切り者であると告げる陰謀を企てます。

イアーゴーは、自らの野心や嫉妬心から、オセロとデズデモーナの関係を破壊しようとします。彼は様々な嘘や陰謀を巧みに操り(あやつり）、オセロを疑心暗鬼に陥れます。結果として、オセロはデズデモーナを信じず、彼女を殺害してしまいます。

「オセロ」は、嫉妬や裏切り、そして誤解が引き起こす悲劇を描いた作品です。主要な登場人物たちが虚偽の情報や陰謀によって翻弄され、最終的には深刻な結果を招く様子は、人間の心理や人間関係の複雑さを浮き彫り（うきぼり）にします。物語は、真実と虚偽、信頼と疑念のテーマを通して、観客に深い洞察を与えます。