2024年5月20日 5時00分

令和コロッケ

 夕食のコロッケに添えよう(そえよう)と思ったが、キャベツが高い。スーパーで1玉400円近くもする。本紙によれば、2月下旬の低温と最近の降雨が影響しているという。価格は今がピークらしいが、主菜よりキャベツが高くなってしまう。代わりになりそうな野菜も高い▼作家の檀一雄((だん かずお)は『檀流クッキング』で幼い頃に食べたコロッケの代用品のような「大正コロッケ」の思い出を書いた。おから(okara)と魚のすり身を混ぜて揚げ、手押しの屋台で売っていたという。「角切り(かくぎり)のキャベツを添え、カラシ(芥子、辛子)とソースを、思い切りよくぶっかけてくれた」▼1970年の同著で「今の値段だったら、十円二、三枚というところ」とあるので、現在なら70円程度か。確かに、安い。もし「令和コロッケ」があったらと考えたが、食材も調味料も値上がりして節約レシピが思いつかない▼厳しいのは、給食の現場も同じだ。「平成・令和の学校給食」として政府広報がSNSへ投稿した写真が批判されている。主菜と副菜、デザートなど5品だ。「もっと粗末だ」と実態を訴える写真は、主食とおかず1、2品だけというのが目立つ▼3年前の文科省調査で、公立小の平均給食費は1食約256円だった。その後、原油価格などが高騰し、今は歴史的な円安水準にある。この給食費でやり繰りするのはもう限界だ▼予算を増やしてでも量と質を確保する必要がある。その費用は、行政が負担するしかないのではないか。子どもたちの健康がかかっているのだ。