2024年8月14日 5時00分
フクロウをペットにする
フクロウ(梟、鴞)はなぜ、フクロウと呼ばれるのか。語源には諸説あるようだ。毛(もう)がふくれた鳥だからだとか、ホウホウといった特徴的な鳴き声に由来するのだとか。「昼は隠れている」を意味するヒルカクロフという昔の言葉から来ているとも言われる▼江戸時代ぐらいまでは不気味で不吉な鳥とされていたらしいが、いまでは人気者である。森の賢者(けんじゃ)などと呼ばれ、ハリーポッターの名脇役も務める。特に日本は、世界有数のフクロウ輸入国だそうだ▼最近は、かわいいからと、自宅で飼いたがる人も多い。しかし、お薦めはできまい。その行為、野生動物を苦しめていませんか――。世界自然保護基金(WWF)は、フクロウの安易なペット化に警鐘を鳴らす▼そもそも広大な森にひっそりと暮らす孤高(ここう)の種である。人に触られるだけで、ストレスは大きい。小さなかごに閉じこめ、ひもで縛り付ければ、人間は癒やされても、彼らの苦痛は計り知れない▼「野生動物はみんなそうですが、フクロウの性格は神経質。扱いは難しいです」。多摩動物公園の飼育係員(しいくがかりいん)、高野葉月(こうの はつき)さん(21)は話す。動物園では、檻(おり)のなかの止まり木を人より高い位置に設けるなど、なるべく野生に近い空間をつくるよう努めているという▼フクロウの名前に話を戻せば、漢字は梟(ふくろう)だが、中国では「猫頭鷹(マオトウイン)」とも書く。猫の頭をもつ鷹(たか)の意である。そのネコのごとき目はギロッと鋭く、この世を見つめている。人間の知性も、愚かさも、すべてを射抜く(いぬく)かのように。
- フクロウ