2024年6月4日 5時00分

政治資金規正法のフソク(附則)

 法律の末尾(まつび)には「付則」がつくことが多い。ほとんどは施行の日などを記したものだ。例えば、ごみをポイ捨てしたら罰金ですとルールを定めたら、付則で「6月4日から適用します」と補う(おぎなう)。そんなイメージだ▼だが時々、ちょっと肌合い(はだあい)の異なる内容を見かけることがある。焦点となっている政治資金規正法では、これまで何度か、法の見直しや再検討が「付則」に掲げられてきた▼政党への企業・団体献金を5年後に見直す(1994年)、支出の公開基準がきびしい「国会議員関係政治団体」の範囲を広げるよう3年後をめどに検討する(2007年)……。国民への約束は果たしてどうなったか▼ご存じのように企業・団体献金はいまも続いている。国会議員関係政治団体のほうは、今回ようやく拡大が提案されたが、この騒ぎがなければ手つかずだったろう。政党は、駆け引きの末に「わが提案は付則に入った」と手柄にしたがるが、過去を見る限りは「あとは野となれ」というに近い▼日本維新の会や公明の案を取り込んだという自民の修正案も、何のことはない。政策活動費に上限を設ける話も、政治資金をめぐる第三者機関を置く話も、将来の課題として付則にあるに過ぎない。本気でやるならば、国会を延長してきちんと制度設計すればいいだけだ▼なのに、今週内にも修正案は衆院を通過するという。議論はまったく「不足」だし、書かれたことが実現されるのかどうかも「不測」である。フソクにもほどがある。

ポイ捨て(ポイすて)とは、ごみの不適切な処理方法のひとつで、対象物が小さい場合の俗称である。

後(あと)は野(の)となれ山(やま)となれ の解説 目先のことさえなんとか済めば、あとはどうなってもかまわない。