2024年11月25日 5時00分
子どもたちを守るために
何歳までが禁止対象になるのか。もうオンラインゲームもできないのか。2カ月前にオーストラリア政府が「SNS禁止法案」の成立を目指すと表明してから、子どもたちは戦々恐々だったらしい。先週、政府から議会へ法案が提出され、中身が見えてきた▼16歳未満は親の同意があってもSNS利用ができない。禁止対象はTikTokやインスタグラム、Xなど。ゲームやYouTubeなどは利用できるので、ほっとした子は多いだろう▼成立すれば世界で最も厳しいとされる法案の背景には、深刻化するいじめや性差別、アダルトサイトなどの問題がある。保護者や子どもへの罰則(ばっそく)はないが、SNSの事業者に最大で約50億円の罰金を科し(かし)、「合理的な措置(そち)」を取るよう求める▼支持派が「酒やたばこと同じで、害があれば法律で禁止すべきだ」と歓迎する一方、年齢で一律(いちりつ)に禁じることへの反発や効果を疑問視する声も。SNSが、孤独な子どもの居場所になっているケースもあるだろう▼今回の動きで痛感するのは、子どもとスマホの関係をめぐる難しさだ。アルバニージー首相は「子どもたちには子どもらしい時間を過ごしてほしい」と法案の意義を説いたが、もはや「スマホなしの子どもらしさ」などないように思う▼人ごとではない。最新の政府調査では、日本の16歳はネットの1日平均利用が約6時間半だ。2歳で約1時間50分というから驚く。子どもが未来を生き抜くため、大人にはいま、何ができるのだろう。