§2023-04-17

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表は肉屋、あさり坂側にすき焼き屋とわかる白暖簾。1901(明治34)年開業以来、100年以上にわたって上質の肉を提供し、地元市民に愛されつづけている「阿佐利精肉店(あさりせいにくてん)」の営む、老舗すき焼き専門店です。広い玄関を入ると、目の前は坪庭(つぼにわ)の明かり。かなり古い建物で、階段は黒光りしています。仲居さんに案内されて、2階奥の四畳半の部屋へ。個室ですき焼きなんて、なんとも豪勢なことです。

気になる料金は、黒毛和牛(くろげわぎゅう)A5ランクの牝牛(めうし)のロースコースで1人4200円。もともとは肉屋だから仕入れには困らないというけれど、満足度は高すぎるほど。古い設え(しつらえ)の座敷は居心地がよく、欧米人や大事な友人を連れていきたいと思わせます。メニューの最後には、和牛の固体識別番号がその都度張り替えられるので、なんとも安心です。

仲居さんが、牛脂(ぎゅうし)を鍋にていねいに広げます。いい匂いが立ち上ったところへ白滝(しらたき)。白滝の水分をとばして、肉の味を薄めないようにするのだそうです。実際、白滝は香ばしく、いい味をしていました。野菜や豆腐が加わり、肉で蓋をするように置きます。そこに、割り下とだしをかけると、一気にすき焼きの匂い。野菜は蒸し焼きのようになり、甘みが増してきます。たまねぎが入るのも北海道という感じです。あっという間に肉の色がよくなり、食べごろに。醤油がきいていて、甘さを強く感じさせないのが絶妙な味わい。合わせるだしは鶏でとるのだそうです。肉の味をこわさないように、薄くとるのだといいます。辛口の酒を選んだら、すき焼きにぴったり。コースはご飯、お新香、デザートつき。

ランチメニューは1500円から。200円追加すると、精肉店で販売しているコロッケ(1個90円)が、揚げたてで味わえます。

「ミシュランガイド北海道2017特別版」掲載店。

住所: 函館市宝来町10-11