夜ふけのなわとび 第1799回 2023/06/23
夢の女
広末涼子さんの夫、キャンドル・ジュンさんのお店は、代々木上原(よよぎうえはら)の駅近くにある。
そして今回不倫相手となったシェフのお店も、代々木上原の駅の向こう側にある。私は行ったことがないが、とても高いお店だそうだ。
そのお店がコロナが始まった頃、店先(みせさき)でサンドウィッチを販売していた。うちの美人秘書がそれを買いに行ったそうである。すると件のシェフが出てきて、
「アルコール消毒液あげようか。サンドウィッチ、中で食べていったら」
とかなりしつこく言ったらしい。
「とても狎れ狎れしい(馴れ馴れしい、なれならしい、too friendly)人だと思いました」
と秘書は証言する。そしてヤフーニュースで見たというこんな話もしてくれた。
「私から見ると、髭はやしたふつうのオジさんですけど、彼は“ゲイ界の橋本環奈”と呼ばれているそうです」
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広末涼子ー鳥羽周作
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鳥羽周作ゲイ界の橋本環奈
どういうことかというと、ゲイの人たちにとって、圧倒的に“タイプ”ということらしい。
広末さんにとっても、好きなタイプだったのだろう。2人はたちまち恋に落ちた。
私はこのページでも何度か触れている。
成功した男性に、若い時好きで好きでたまらなかったアイドルが近づいてくる。もし自分のものになったとしたら、それは気が遠くなるような(to lose consciousness、to feel overwhelmed)幸福ではないだろうか。
こうなると、奥さんも子どもも木っ端微塵(こっぱみじん)になる。とてもかなわない(I can't beat it.)。今、ITの成功者たちは、芸能人とつき合ったり結婚したりする。
が、これと反対のことはまず起こらない。成功した女性が、かつて自分の憧れ(あこがれ)の人だった男性を手に入れる、なんてことは絶対に無理。
- 松田 聖子(まつだ せいこ、1962年3月10日 - )は、日本のアイドル・歌手・シンガーソングライター・女優。
松田聖子さんは、福岡の高校生だった頃、
「今にスターになって、郷ひろみ(ごう ひろみ)とニューオータニで結婚披露宴をするの」
とよく語っていたそうである。2人は結婚することはなかったが、恋人同士であった。聖子ちゃんは「夢の男」を手に入れたのである。
しかしこういうことは、芸能人だから起こり得ることだ。
成功して、ある程度の年齢になっている女性がいるとする。女性は猜疑心(さいぎしん)が強い。もしかつて憧れた俳優(はいゆう)や歌手(かしゅ)が近づいてきたとしても、
「何で? お金が欲しいのかしら」
と思うに違いない。男性のように単純に、
「夢みたい……」
などと思えないはずだ。それに女性は、もしそういう関係になったとしても、自分の衰えたカラダを見せたくないと思うに違いない。その点、男の人はお気楽でいいですね……。
運命のバランス
ところで昨日のことである。
お金持ちの男性が食事に誘ってくれた。銀座の某高級(ぼうこうきゅう)クラブのママも一緒。食事の後はママのお店に。一流店だけあって、若く美しいホステスさんがいっぱい。背中がぱっくりあいたドレスや、胸が半分見えるものを着ているが、若いから肌がピチピチしている。イヤらしくない(It's not disgusting)。
友人も3人来ていて、こちらもみーんなお金持ち。IT関連や投資家である。みんなホステスさんたちとキャッキャッ楽しそう。
古典的な男性の「成功のあかし」であるが、やはり華やかでいいですね。地位もお金も手に入れた男性たちは、こうした特権を手に入れられるのである。
その時、傍らに座っていた男性が、
「ハヤシさん、僕のこと憶えていますか?」
と話しかけてきた。
「6年前にハヤシさん、『夜ふけのなわとび』に僕のことを書いたんですよ」
スマホで誌面の写真を見せてくれた。あの時友人のホームパーティーに来ていた彼は、奥さんがどんなにひどいか嘆いたのだ。意地悪(いじわる)をして、いつも自分のことを責める。優しくしてもらったことなんか一度もない。専業主婦なのに、家事を全くしないうえに、大変な浪費家で、ブランド品を買いまくる。
「だけど僕思うんですが、彼女という負によって、運命のバランスがとれて、僕は仕事がすごくうまくいっているような気がするんです」
あれから月日(つきひ)は流れ、彼はやさしい女性と知り合った。今は一緒に暮らしているそうだ。
「しかし元ヅマ(正確には今ヅマであるが)が、絶対に別れない、と言って、今は離婚係争中(りこんけいそうちゅう)です」
弁護士費用に、億というお金を使ったそうだが、かなりの額の慰謝料を示しても、奥さんは首をタテにふらない。
「この争い、永久に終わらないんじゃないかと思ってます」
そういう彼の表情は明るくて、悲愴感(ひそうかん)がまるでない。このことを楽しんでさえいるようだ。
私は尋ねた。
「もしかすると、あなたが言う負の法則によって、お仕事、すごくうまくいってるんじゃないの」
「そうなんです。儲かって儲かって困るぐらいです。おまけに……」
これを見てくださいと、スマホの写真を見せてくれた。高級ワインが50本ほど並んでいる。
「先週元ヅマの留守中に、ほっておいた地下のワインカーヴ(Wine Cave)のものを持ってきたんです。元ヅマはワインに興味がなく、カーヴの存在も憶えてないかも。見てください、ロマネコンティが8本、ラ・ターシュは1ダース、ペトリュスは10本、どれも安い時に手に入れたものです。係争中、ずーっと家に寄りつかない間に、これらのワインの価値は爆上がり(ばくあがり)してたんです。いったいいくらになるかもわかりません」
男女関係と、運との相関関係は確かにあるらしい。パーフェクトに幸せにならない方がいいと、私はいつも自分に言いきかせている。