「週刊文春」編集部 2023/05/01

賞金総額47億 北島三郎愛馬たちの「終着駅」

 北島 三郎(きたじま さぶろう、1936年(昭和11年)10月4日 - )は、日本の演歌歌手、俳優、ミュージシャン、馬主(ばしゅ)。本名:大野 穣(おおの みのる)。

馬主として

第76回菊花賞表彰式にて(2015年10月25日、京都競馬場)デビュー当時に所属した新栄プロダクションの創業者でウエスタンダッシュ(1974年(昭和49年)京成杯、1975年(昭和50年)日刊スポーツ賞金杯などJRA25戦5勝)等を所有し、北海道に北西牧場(ウエスタンファーム)を創設する等オーナーブリーダーとして活躍していた西川幸男や、先輩歌手で馬主でもあった春日八郎に勧められ馬主活動を始める。

日本の競馬界では、1963年(昭和38年)以来、「キタサン」の冠号で多くの競走馬を所有する馬主としても知られる(登録上の名義は法人である「有限会社大野商事」)。

「北島さんが、所有馬の今後の処遇についてあれこれ頭を悩ませているようです」(競馬関係者)

 著名な馬主としても知られている“サブちゃん”こと北島三郎(86)だが……。

 これまで北島の馬は中央競馬だけで2000回以上出走。自身の名前を由来とする「キタサン」を冠した馬の賞金総額は約47億円に上る。中でも代表格が、GⅠレースを7勝したキタサンブラックだ。

「北島さんが北海道の牧場を訪れ、キタサンブラックの目がどうしても気になって購入したという逸話があります。値段は格安の350万円でした」(同前)

2017年秋の天皇賞を制したキタサンブラック.png

 キタサンブラックの総獲得賞金は、ざっとその500倍の約18億8000万円。さらに2017年の引退後は種牡馬(しゅぼば 2,繁殖用の雄馬(おうま)。サイヤー。スタリオン。 ↔種牝馬(しゆひんば))として、総額13億5000万円のシンジケート(syndicate)が組まれた。

「昨年度は種牡馬(おうま)として177頭の牝馬(めうま、ひんば)との交配が行われました。現在キタサンブラック産駒のイクイノックスが有馬記念やドバイの国際競走を制する大活躍で、種牡馬としての価値が高騰しています」(同前)

 キタサンブラックの種付料(たねつけりょう)は1頭当たり1000万円。今年の皐月賞(さつきしょう)も産駒が制したことから、さらに上昇することが見込まれる。

「北島さんも種牡馬((しゅぼば))シンジケートの株を保有していると見られ、キタサンブラックの子供達の活躍にウハウハでは」(同前)

 北島の馬主名義は「有限会社大野商事」。大野商事は北島三郎の所属事務所「北島音楽事務所」の法人名義だ。その所属事務所も最近、過渡期(かとき)を迎えている。

「今年2月、義理の息子の北山たけしや大江裕など所属歌手4名の今春での退所(たいしょ)を発表。30名いた事務所スタッフも3月末で親族を除いて多くが退社し、サブちゃんの親族企業になりつつある」(スポーツ紙記者)

 3月下旬には退社するスタッフや所属歌手を招いてお別れパーティーを開催。

「事務所の社長を務める(北島の)息子さんが、辞めるスタッフに対して『何か困ったことがあれば相談して』と声をかけたそうですが、『コロナも落ち着いてこれからコンサートなども、もっとやれるのに』と心中穏やかでない参加者もいたとか」(レコード会社関係者)

 一方、北島本人は2019年に両足の指を骨折した影響もあって車イス生活。36部屋あることで有名な八王子(はちおうじ)の豪邸ではなく、生活しやすい郊外のマンションで夫人と暮らしている。

 体力の低下はあるものの音楽活動に対しては意欲を見せ続けているという。

「これまでの集大成となるDVDを企画しており、その中で新曲も発表する予定だそうです。弟子のコンサートへのゲスト出演もやっていきたいとの意向を持っている。自分の歌の名前を引き合いに『終着駅は始発駅(しはつえき)だから』なんて冗談を言うんです」(同前)

 JRAの北島の所有馬は現在6頭だが、今後の馬の処遇については、

「北島さんは『馬は子供と同じような存在』と大切にしています。今後、走れなくなった馬については乗馬用として寄付していくことも検討しているそうです」(前出・競馬関係者)

 北島の所属事務所に歌手活動や今後の馬の処遇について尋ねると「所有馬の取り扱いに関しては調教師にお任せしています。(今後の歌手活動は)6月5日に新曲をリリース予定です」。

 北島は今も、毎週のようにインターネット投票で馬券を購入。キタサンブラックの子供たちを応援しているという。