「週刊文春」編集部 2023/06/07

マクドナルド「店長の勤務時間改ざん」告発 従業員38人の勤務時間を不正に減らし、自分の妻の勤務時間は増やしていた〈内部文書入手〉 処分は「減給」のみ。次の店舗でも店長に…

​​「店長が法に触れる行為をしたのに、公(おおやけ)にもならず私たち従業員に謝罪もないのが許せません。もう我慢の限界です。事実を知ってもらうために告発することにしました」

 そう語るのは、世界最大のハンバーガーチェーン「マクドナルド」で働く現役従業員のAさんだ。

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 100以上の国と地域で4万超の店舗を展開するマクドナルド。日本では全国に2960店舗を展開している。そんなマクドナルドの茨城県笠間市(かさまし)にある友部店(ともべてん)で“事件”は起こった。今年5月、冒頭のAさんは〈未払い給与のお知らせ〉と題された書面を渡された。そこには、こう綴られていた。

〈2021年9月から2023年4月の期間、一部給与の未払いが発生しておりました〉

 未払い分は6月の正規給与に加算して支払われるという。同様の書面は、他にも多数の同僚に渡されていた。Aさんは唐突な“未払い給与”の支払いに疑問を抱く。

「なぜ未払いが発生したのか、何の説明もなかったんです」(Aさん)

 未払い額は、少ない人で数十円、多い人で6万円以上とバラバラ。一向に気にも留めない人もいれば「勤怠管理システムの不具合で計算ミスがあったらしいよ」と言われて納得する人もいた。そんな中、Aさんはある事実を知ってしまう。

「店長のXが、店舗が開店した21年9月から今年4月末まで1年半にわたり勤怠記録を改ざんし、従業員の勤務時間を不正に減らし続けていたのです」(同前)

 不正はそれだけではなかった。

「驚くべきことに、Xは同じ店で働く妻の勤務時間だけは逆に増やして記録していました」(同前)

数百件を超える改ざんが行われていた可能性が

 友部店はフランチャイズチェーン(FC)店だ。運営するのは「アグレッシブスタッフ」(以下、ア社)。茨城県内ほぼ全域で25店舗を展開する。

 全国に2960店舗あるマクドナルドの店舗のうち直営店は861店舗。残りはFC店だ。全店舗の7割以上を占める。X氏は、日本マクドナルドのフランチャイジーであるア社の社員だ。

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「Xは気に食わないことがあると物に当たって叩いたり蹴ったりする。かと思いきや、その翌日にはケロッとして私たちにベタベタ触ってきたりと、日によって機嫌の上下が激しい人です」(Aさん)

 小誌は今回、そんなX氏の不正行為を裏付ける内部文書を入手した。それは、友部店の従業員たちの勤務時間の「変更履歴」である。

 文書を確認すると、左から「変更日付」と「対象日付」、そして「変更者名」、勤務時間変更の対象となった従業員の「氏名」「変更項目名」「変更後内容」「変更前内容」「コメント」と並ぶ。

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