THIS WEEK「政治」 「週刊文春」編集部 2023/07/20
“維新鞍替え(くらがえ)”河村建夫に激怒 二階が「二度と顔を見せるな」
日本維新の会が、河村建夫(たけお)・元官房長官(80)の長男、建一氏を次期衆院選で擁立する方針を固めた。
第一報が流れると、ツイッターには、あきれ声が次々と投稿された。曰く、「議員になれれば、それでよろしいのか」「節操のなさが凄いw」……。
建一氏の選挙区は東京都内で調整されており、河村家は親子そろって地元・山口県から追い出された形となる。政治部記者は「山口は日本一の世襲王国。安倍、岸、林、高村の世襲一家に比べれば河村家はブランド力に欠けた」と語る。
ことの発端は、河村氏が所属する二階派による2020年10月の「襲撃事件」だ。当時の河村氏は二階派の会長代行の座にあった。
現外相の林芳正氏(はやしよしまさ, 1961年1月19日—)が参院から衆院に転じるため、河村氏が長年、当選を重ねてきた衆院山口3区に鞍替えする意向と報じられた。
すると二階俊博幹事長(当時)が派閥のメンバー19人を引き連れ、3区に集結する。二階氏は「売られたケンカという言葉がある」と啖呵(たんか、 喧嘩(けんか))を切った。
この騒動には、林氏を嫌う(きらう)安倍晋三元首相でさえ「やり過ぎだ。自民党が世間の反発を買ってしまう」と懸念を示したほどだ。
そもそも河村氏はお人好し(おひとよし、a good-natured person)に過ぎた。山口4区の安倍氏が「林さんが3区を奪いにくる」と忠告するも手を打つことなく、気付いた時には情勢調査で完敗状態だった。
翌21年秋の衆院選で、党本部は林氏を公認。河村氏は引退を表明し、建一氏を擁立すべく奔走する。
「建一氏は04年に文科官僚と結婚するも離婚。離婚直前に、お互いの不倫が発覚し、週刊誌沙汰になったことも。現在、建一氏は再婚し3人の子供を育てている」(前出・政治部記者)
建一氏は、結局、同衆院選で北関東ブロックから出馬するも落選。翌年の参院選でも惨敗を喫した。
こうした自民の冷たい仕打ちに建一氏は維新への移籍を決意。河村親子は、水面下での連携も見据えて二階氏に仁義を切るべく挨拶に出向いたが、二階氏は、「二度と顔を見せるな」と一喝(いっかつ)したという。
「山口からも総スカンですよ。よりによって日本維新の会。明治維新を主導した山口には維新を軽々しく名乗る党への嫌悪感がある」(県連関係者)
山口は1区が高村正彦元副総裁から引き継いだ世襲三世の正大氏、2区が岸信介元首相を曾祖父に、信夫(きし のぶお)元防衛相を父に持つ信千世氏、3区が世襲四代目の林氏。そんな状況に河村氏は「山口は世襲ばかりだ」と嘆く。だが、自らの父も県議で、長男を国会議員に就かせようとする思考回路は五十歩百歩という他ない。
- 川村建夫
河村 建夫(かわむら たけお、1942年〈昭和17年〉11月10日 - )は、日本の政治家。自由民主党副総裁特別補佐。中国復旦大学復旦発展研究院国際顧問(衆議院予算委員長時代から)。一般社団法人日中友好文化交流促進協会会長。
自民党から比例選に出馬していた新人の河村建一氏の落選が決まった。河村氏は河村建夫・元官房長官の長男